故「石垣結城」と「病気」は、切っても切り離せないものがあります。
そして闘い続けた病気と彼女の絵画もまた切り離しては考えられないのです。
難病との闘いの中で描き続けた絵画、
大げさに言えばそれは彼女の人生そのものだったと言えるかもしれないからです。
病気の進行と共に徐々に変形していく足の指は、形成手術を行うしかありませんでした。
時期を異にして、膝には人工関節を入れる手術を行うしかありませんでした。
その都度、笑いながら「個展を開くまでは・・・」と自らを励まし、
「また描ける日」を支えとして乗り越えていました。
しかし、両手の指がほとんど45度に曲がるほどに変形してからは、筆を持つのも苦労だったようです。
そうした状況のなかで彼女は絵画を描き続けたのです。
入退院を繰り返すうちに合併症を併発、夢叶わずして62歳の生涯を閉じました。
彼女の作品には、とても同一人物の描いた絵画とは思えないものがあります。
それはまるで、その時々の想いが込められているかのようです。
半ば回復は諦めなければならなかった病気を抱えていても、
常に前向きでありながら、一方では自分の想いを絵画に込めて、
ある時は安らぎを求め、そしてある時は何かに救いを求めていたのかもしれません。
何かを訴えようとして描き続け、個展を夢見た母の意思を形にしてあげたい。
これは、娘としての思いでもあるのです。
それがこのWeb個展です。
この個展に訪れてくださった皆様の心に、母の想いが少しでも届くようであれば幸いです。
|